痩せホルモンってどんなホルモンなの?食べ物は?睡眠で出すには?

人間の体には様々なホルモンが必要です。代謝や満腹感にも関係するホルモンは、ダイエットに効果的で痩せホルモンと呼ばれることもあります。
ではそんな痩せホルモンとはどのようなものなのでしょうか。
痩せホルモンの種類
レプチン
レプチンとは、食欲を抑える効果があるホルモンです。食べ物が体の中に一定量入ると、お腹いっぱいと感じて食べたくなくなります。しかし、これは胃がいっぱいになったからではありません。
レプチンが脳に働きかけて、適量食べましたと指示を送って食べ過ぎを防止する効果があるからです。更に内臓や筋肉に取り込んだエネルギーを使うように働きかけるので、脂肪を溜め過ぎないようにもします。
GLP-1
GLP-1も満腹中枢に働きかけて食べ過ぎを抑制する効果があります。胃の活動に働きかけて、食べた物を緩やかに腸へ運びます。腸では少量ずつ食べ物が運ばれるようになるので、糖分の吸収が緩やかになり、血糖値が上がりにくくなります。
GLP-1は誰でも分泌されていますが、分泌量には個人差があるホルモンです。
エストロゲン
女性ホルモンのことで、一生のうちにスプーン1杯分しか分泌されないといわれるものです。柔らかな情緒表現や艶やかな肌、女性らしいバストを作る効果があります。
ダイエット面ではウエスト周りの脂肪を減らし、バストやヒップに脂肪を集めます。つまり、女性の理想のボディーラインを作るのがエストロゲンです。
成長ホルモン
成長ホルモンとは、骨や筋肉を作ったり、丈夫な皮膚を作ったりなど、古くなった細胞を作り替えて体を若々しく保つ効果があります。
脂肪を燃焼させやすくする作用もあるので、痩せやすい体質になるためには欠かせないホルモンです。成長ホルモンは運動や正しい睡眠で分泌を促すことができます。
コルチゾール
コルチゾールはストレスに反応するホルモンです。強いストレスが長い間かかると、ストレスに対応するために、筋肉をエネルギーに変換して準備する働きがあります。
ここまで聞くとダイエットの天敵のようなホルモンですが、適切に分泌されたコルチゾールはエネルギーを消費する働きがあります。脳は睡眠中でも活動してエネルギーを消費しています。1日の活動で使われず余ったエネルギーはコルチゾールの作用によって、脳が消費しているのです。
ホルモンと同じ効果がある神経物質
ヒスタミン
厳密にはホルモンとは違いますが、脳内で分泌されるヒスタミンという神経物質もダイエット効果があります。食事中によく噛むとヒスタミンが発生するのですが、ヒスタミンは脳内ではレプチンと同じように食欲を抑える効果があります。
ただし食べ物からヒスタミンを摂取してしまうと、脳には届かずアレルギーの原因になるので、注意が必要です。
セロトニン
セロトニンもホルモンとは厳密には異なりますが、ドーパミンなどど並ぶ人間の精神を安定する上で重要な神経物質です。セロトニンは幸せホルモンとも呼ばれ、主に満足感や幸福感を司っています。
セロトニンが不足すると、しっかり食べたり眠ってもまだ足りない!満足できない!と感じてしまってもう適量食べていても、もっと食べたくなってしまいます。
少量で体に大きな影響を与えるホルモンや神経物質は多すぎても、少なすぎても体に悪影響です。ダイエットを始めても思うように効果が出ない場合はホルモンが影響しているかもしれません。
痩せホルモンが出る食べ物は?
GLP-1は食事後に多く分泌されますが、分泌量には個人差があります。GLP-1が分泌されにくくても、必要な栄養素を摂ることでGLP-1の分泌を促すことができます。ではGLP-1が多く分泌される食べ物とはどのようなものがあるのでしょうか。栄養素と併せて紹介します。
食物繊維
GLP-1は小腸と大腸のL細胞が分泌しています。食物繊維が腸を通ると、腸内細菌が分解するのですが、その際にL細胞を刺激するのでGLP-1の分泌が促されます。
つまり食物繊維を食べることによってGLP-1が多く出るのです。食物繊維は1日18g食べることが推奨されていましが、現代の食生活では不足しがちな栄養素と言われています。
食物繊維が多い食べ物- 大豆・・・15.3g
- アボカド・・・3.6g
- トウモロコシ・・・8.4g
- ゴボウ・・・3g
- しめじ・・・3.4g
- アーモンド・・・12g
それぞれ100gごとの食物繊維を比較しましたが、きのこや豆が目立って食物繊維が多いことがわかります。アーモンドなどを見ると食物繊維を18g食べるのは、思ったより簡単なんじゃない?と思うかもしれません。
しかしアーモンドは1粒およそ1gちょっとです。100g食べるには90粒は食べなければいけませんが、そんなに食べられません。食物繊維をきちんと摂るには、ゴボウやきのこなど毎日食べやすい食品を選んで、3食きちんと食べる必要があります。
EPA
EPAとはエイコサペンタエン酸とも呼ばれ、青魚に多く含まれている油の1つです。EPAが小腸に入るとL細胞が刺激され、GLP-1の分泌量が増加する効果があります。
EPAが多い食べ物- サバの水煮缶・・・2350mg
- マグロ・・・1450mg
- イワシ・・・1171mg
- イワシ水煮缶・・・949mg
- サンマ・・・885mg
それぞれ100gの中のEPAの量を紹介しました。イワシやサバの缶詰めからもEPAが摂取できるので、調理が大変なときはお刺身や缶詰めを利用するのがオススメです。
GLP-1の分泌量が少ない場合でも食べ物で補うことができますが、GLP-1は腸から分泌されています。そのため、腸内環境がGLP-1の分泌に影響が出るのです。
GLP-1が分泌される食べ物を食べるだけでなく、腸内環境を整える生活習慣も心がけるようにしましょう。
痩せホルモンが分泌されやすい食べ方
時間をかけてゆっくり食べる
食欲抑制ホルモンであるレプチンが分泌されるのは、食べ始めてから20分経ってから。そのため早食いの癖がある場合は、レプチンが満腹中枢に届く前に食べ過ぎてしまいます。20分以上かけて食べれば腹8分目でも満足感が出てきます。
よく噛んで食べる
1口ずつよく噛んで食べると必然的に食べ終わるのに時間がかかります。ゆっくり食べるようになることで、満腹中枢が刺激される前に既に食べ過ぎているということがなくなるのです。
また噛むという刺激で、ヒスタミンが脳内で発生します。ヒスタミンは口から摂るとアレルギーの原因になってしまいますが、脳内では食欲を抑える効果があります。1口30回以上噛むようにするとヒスタミンの分泌が促されます。
食べることに集中する
食事の時間にテレビを見ながら、スマホを見ながら食べてしまうということがありますよね。
スマホやテレビを見ながら食べてしまうと、食べることに集中できず味の感覚が鈍くなったり、ホルモンに満腹中枢を刺激されていても気づきにくくなります。満足感も低下してしまうので、しっかり食べたばかりにも関わらずおやつが欲しくなる場合もあります。
痩せホルモンが分泌される食べ物を食べるだけでなく、食べ方にも注意するとダイエット効果がアップします。
痩せホルモンを睡眠で出すには?
私たちの体は睡眠中でもエネルギーを使って、体の修復が行われています。睡眠中の活動はホルモンの分泌がスイッチとなって行われます。
正しい睡眠ができないとホルモンバランスが崩れて、代謝が悪くなり太りやすい体質になってしまいます。
しっかり眠ると分泌される痩せホルモン3種類
成長ホルモン
成長ホルモンは睡眠中にエネルギーを使って傷ついた細胞を修復したり、骨や筋肉を新たに作る働きがあります。新たな健康な細胞になることで、アンチエイジング効果が期待できます。エネルギーを使うことによって脂肪の蓄積を防止するので、ダイエットにも効果的です。
成長ホルモンは眠り始めてから2~3時間に分泌量がピークになりますので、この間に熟睡できないと、成長ホルモンが分泌されず代謝が悪くなってしまいます。
コルチゾール
眠っている間は食べ物が入って来ないので、成長ホルモンが代謝をするためには、エネルギー源が必要です。コルチゾールは眠っている間に必要なエネルギーを作る働きがあります。その日に食べた食事で余ったエネルギーは、コルチゾールに分解されるのです。
コルチゾールは起床に備えて夜明け前の睡眠時間の後半に多く最も多く分泌されます。お昼まで眠ってしまうと、夜明け前に分解したエネルギーがまた脂肪に戻ってしまうので、眠くても遅くまで眠るのは禁物です。
レプチン
レプチンは満腹中枢を刺激して、お腹いっぱいと感じさせるホルモンです。他にも脂肪の分解を促す効果があります。痩せるには重要なホルモンですが、まとまった時間眠れていないと、このレプチンの分泌が低下してグレリンという別のホルモンが分泌されてしまいます。
グレリンとは食欲を増進して脂肪を蓄積させるホルモンです。つまり太りやすくなるレプチンとは反対の効果があるホルモンなのです。レプチンは6時間以下の睡眠では分泌量が低下します。忙しくても7時間は眠るようにしましょう。
眠り始めて3時間はしっかり眠る
成長ホルモンは眠り始めて3時間後に最も多く分泌され、コルチゾールは3時~夜明けまでに多く分泌されます。この間に眠りが浅いとホルモンの分泌量が低くなるので、午前0時には熟睡しているようにしましょう。
寝る前に気をつけたいこと
食べ物を消化するには3時間かかります。食べてから3時間は消化器官が栄養として分解するために盛んに活動しています。そのため、眠ろうとしてもなかなか寝つけないのです。
更に眠る前に食事をすると、睡眠中に使われるエネルギーは直前に食べた物から消費されるます。コルチゾールが分泌されても、1日で余ったエネルギーが使われなくなり、脂肪が残りやすくなります。
ついついパソコンやスマホは気になって触ってしまいますが、パソコンやスマホの光は脳を覚醒させる交感神経を優位にしてしまいます。睡眠物質のメラトニンの分泌も減ってしまうので、寝つきにくくなるのです。
ベッドに入ってからはもちろん、できれば眠る1時間前はパソコンやスマホを見ないようにしましょう。
きちんと体が熟睡することで眠っている間にも代謝が行われ、男性でも50、女性なら40キロカロリーが消費されます。熟睡できないと、体が休まらずなんとなくだるいというだけでなく、ホルモンバランスが崩れてカロリーがきちんと使われなくなってしまいます。