もち麦とは?期待できる効果は?ダイエットのやり方&失敗する理由

白米食が一般化する以前の時代に主食として扱われてきた麦飯が、その優れた栄養価から近年見直されています。
大麦の中でももちもちとした食感で食べやすい“もち麦”が特に注目されており、TV番組でもち麦を使用したダイエット法が紹介されてからは、市場でもち麦が品薄になるほど話題になりました。
一般的な麦ごはんに使われる押麦ともち麦にはどのような違いがあるのでしょうか?また、もち麦を用いたダイエットはどのような方法で行うのでしょうか?
今回はもち麦の特徴、他の穀物との違い、もち麦の効果やもち麦ダイエットの方法ついて詳しくご紹介します。
もち麦とは?どんな栄養があるの?
もち麦とはどのような麦なのでしょうか。押麦との違いや栄養についても合わせてご紹介します。
お米の種類である“うるち米”と“もち米”のように、大麦にもうるち種ともち種があり、もち麦は“もち種”の大麦です。
うるち種ともち種の違い
デンプンの分子組織であるアミロースを含む穀物を“粳(うるち)”といい、含まない品種の穀物を“糯(もち)”といいます。
アミロペクチン約80%、アミロース20%
もち種に含まれるデンプンアミロペクチンほぼ100%
アミロペクチンは調理時に水分と熱が加わることで強い粘性を生じるため、アミロペクチン含有量の高いもち米やもち麦はうるち種の穀物に比べ食感がもちもちとしています。
もち麦と押麦の違い
押麦はうるち種の大麦を蒸気で加熱したあとにローラーで平たく押しつぶしたもので、もち麦との違いは“食感”と“栄養価”です。
一般的な麦ごはんに使われ、もち麦ごはんと比べるとぱらりとした炊きあがりになります。一粒一粒にハリがあり、食べごたえのあるプチプチとした食感をしています。
もち麦には劣るものの、押麦にも豊富な食物繊維が含まれていますので、もち麦が手に入りにくい場合の代用品としておすすめです。
もち麦の栄養価
水溶性食物繊維“βグルカン”が豊富
もち麦は他の穀物に比べ、水溶性食物繊維が多く含まれています。もち麦とその他の穀物の100gあたりのカロリーと食物繊維は以下の通りです。
エネルギー | 水溶性食物繊維 | 不溶性食物繊維 | |
---|---|---|---|
もち麦 | 340kcal | 9g | 3.9g |
白米 | 356kcal | 0g | 0.5g |
玄米 | 350kcal | 0.7g | 2.3g |
押麦 | 340kcal | 6.0g | 3.6g |
もち麦の外皮はポリフェノールが豊富
市販のもち麦には外皮を完全にとった白色のもの、外皮の一部を残した茶色っぽいものや紫色のものなどがあります。
もち麦の外皮にはポリフェノールの一種である“アントシアニン”が含まれており、外皮が残っているほど歯ごたえが強くなります。
もち麦を利用する際の注意点
もち麦は食物繊維が豊富な食品ですので、体質によっては軟便などの症状が出る場合があります。
もち麦は炊飯器の保温機能で長時間保温を続けると、麦独特の香りが出てきます。冷凍保存しても有効成分が変化しませんので、すぐに食べない分は一食ずつ小分けにして冷凍保存をすると良いでしょう。
もち麦を食べることによる効果は?
もち麦の最大の特長は豊富に含まれる水溶性食物繊維“βグルカン”です。ここでは食物繊維を摂ることで期待できる効果と、ダイエット効果のメカニズムについてご紹介します。
食物繊維には不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の二種類があり、もち麦にはどちらも豊富に含まれています。
食物繊維を摂取することで以下のような健康効果が期待できます。
肥満予防、糖尿病予防、動脈硬化予防、大腸癌予防、コレステロール上昇抑止、血糖値上昇抑制、血圧低下作用、便秘解消、免疫力アップ、美容効果
もち麦ごはんによるダイエット効果のメカニズムをご説明します。
ワシントン大学の研究で、「太っている人の腸内にはファーミキューテス門(通称デブ菌)の細菌が多く、痩せている人にはバクテロイデス門(通称ヤセ菌)の細菌が多い」という腸内細菌と肥満の関係が明らかになりました。
もち麦に含まれる水溶性食物繊維には、ファーミキューテス門の餌になる“糖質”や“脂質”を包み込むことで吸収を抑える働きがあるため、もち麦ごはんを継続的にとることでバクテロイデス門優勢の腸内環境を作り、痩せやすい体質への改善が期待できます。
水溶性食物繊維は胃の中で水分や食べ物と混ざり合うことで膨張します。大きくなった食塊は胃に長くとどまるので、食べ過ぎ防止や満腹感の持続などの効果が期待できます。
もち麦ダイエットのやり方は?
もち麦人気の火付け役となったフジテレビの特番「その原因、腸にあり!」にて、お笑いコンビ“北陽”の虻川美穂子さん(あぶちゃん)と、女優の信江勇さんが実際に行った腸活ダイエットの方法をご紹介します。
もち麦の腸活ダイエットの方法
一日一膳、主食をもち麦ごはんに置き換える
一日一膳もち麦ごはんを食べ、他の二食は普段通りの食事をとります。セカンドミール効果が期待できるため、朝食にとるのがおすすめです。
セカンドミール効果とは、最初にとる食事が、次の食後血糖の変動値にも影響を及ぼすことを言います。
朝にもち麦ごはんを食べることで血糖値の上昇が抑えられるという効果が午後にまで続くため、一日の血糖・コレステロールの上昇を朝食でコントロールすることができます。
もち麦ごはんの炊き方(二合分)
白米一合ともち麦一合を用意し、内釜の2.5合のライン(2と3の間)まで水を入れ、軽く混ぜてから炊きます。
もち麦を使ったレシピ
番組でおすすめされていたレシピをご紹介します。
三豆丼
豊富な食物繊維とタンパク質がとれます。相乗効果が期待できるレシピです。
【材料】
- 枝豆 50g
- 絹豆腐 50g
- 納豆 1パック
- 納豆のタレ 1パック分
- きざみ海苔 適量
【作り方】
(1) 枝豆を茹でる。
(2) (1)と他の材料をすべて混ぜ合わせる。
(3) もち麦ごはんにかけて完成。
もち麦きのこリゾット
白米は混ぜずにもち麦のみで作ります。塩胡椒は加えず、味付けはベーコンやブイヨンの塩気と旨味のみのヘルシーなリゾットです。
【材料】
- 粉チーズ 10g
- 牛乳 10cc
- ブイヨン 20cc
- もち麦 100g
- 玉ねぎ 30g
- ベーコン 10g
- きのこ類 200g
【作り方】
(1) オリーブオイルでベーコン・玉ねぎ・きのこ類を炒める。
(2) (1)に茹でたもち麦を加える。
(3) ブイヨン・牛乳を加えて一煮立ちさせる。
(4) 粉チーズを混ぜて完成。
もち麦ダイエットに失敗する原因
もち麦ごはんを食事に取り入れてもダイエット効果が出ない場合には、以下のような原因が考えられます。
腸内細菌の反応が鈍い
人体には約3万種類もの腸内細菌が存在します。その中でも反応の良い(効果が出やすい)腸内細菌の種類と反応の悪い種類があり、腸内フローラが反応の悪い腸内細菌に偏っている場合には効果が出るまでに時間を要します。
ダイエット期間を延長したり、もち麦ごはんの置き換え回数を増やすなど、長期的に取り組みましょう。
他の種類の水溶性食物繊維を摂取していない
一種類の食物繊維ばかりを多く摂り続けることで胃腸が慣れてしまい、ダイエット効果が低下することがあります。βグルカンの他に水溶性食物繊維を摂ることで予防が出来ます。
- ペクチン:果物に含まれます
- グルコマンナン:こんにゃくゼリーなどに含まれます
- イヌリン:ゴボウ、きくいもなどに含まれます
- グアー豆酵素分解物
- 難消化性デキストリン
- ポリデキストロース
摂取カロリーがオーバーしている
もち麦ダイエットの失敗例として、もち麦ごはんに置き換えることによる安心感から食事量や間食が増えてしまい、体重が減らない、痩せない、というものがあるようです。
摂取カロリーが元の食事よりもオーバーしないように気をつけましょう。
まとめ
もち麦にはダイエット効果だけでなく、食物繊維による健康効果も期待できます。
また、腸内細菌にアプローチするダイエット方法のため、効果の出方には個人差があります。継続することが重要ですので、すぐに効果が出なくても気長に取り組んでいきましょう。