中鎖脂肪酸・長鎖脂肪酸・短鎖脂肪酸の各特徴について
健康志向も相まって、近年では実に沢山の油脂類がお目見えし含まれる脂肪酸の効果が明らかになっています。
その中でも主にエネルギー源として活用される飽和脂肪酸は短鎖脂肪酸・中鎖脂肪酸・長鎖脂肪酸に分類されますが、体への蓄積や代謝の効率などの性質がそれぞれ異なるため特徴を踏まえておくことが重要です。
それぞれの特徴を考慮しつつ、バランス良く普段の食事に摂りいれるようにしましょう。
飽和脂肪酸の分類は炭素の鎖の長さで決まる
短鎖脂肪酸・中鎖脂肪酸・長鎖脂肪酸の3つの分類からなる飽和脂肪酸は、単純脂質と呼ばれる成分に含まれる脂肪酸で、分子結合が水素で満たされた性質を持ちます。
少し小難しくなりますが、脂肪は炭素、酸素、水素によって作られた有機化合物で、まるで鎖のように数珠つなぎになって分子同志が結合してそれぞれの性質を決定しているのです。
飽和脂肪酸においては二重になった鎖状の結合を持たないので、シンプルに鎖の長さ=炭素の結合で種類を分けています。
鎖の長さの定義は一概に統一性がないようですが、トータルでみてみると次のようになります。
短鎖脂肪酸
炭素を結ぶ鎖の数が4個以下の飽和脂肪酸
中鎖脂肪酸
炭素を結ぶ鎖の数が6個から12個の飽和脂肪酸(長鎖脂肪酸の鎖の数の半分)
長鎖脂肪酸
炭素を結ぶ鎖の数が12個から14個以上の飽和脂肪酸
乳酸菌の力が産生する短鎖脂肪酸の特徴
短鎖脂肪酸の殆どは油脂類の直接摂取よりも、腸内で産生する割合が大きい特徴を持ちます。腸内に届く食物繊維を善玉菌である乳酸菌が触媒して、発酵する段階で産生されるのです。
乳酸菌には沢山の種類があることから産生量は異なりますが、腸内環境を活性するので粘膜細胞に十分に栄養が吸収され体内に有用なメリットを齎します。
短鎖脂肪酸の効果
カルシウム、鉄分、マグネシウムの吸収力を高める。
血液脳関門の透過性を高めてエネルギー代謝を促進させる。
ケトン体を作り、昂った交感神経を抑制する。
エネルギーの代謝量を増加させる。
含まれる食品と脂肪酸
食品
バター、チーズ、牛乳、酢
脂肪酸
酪酸、酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、ブチル酸
ダイレクトに消化されて脂肪が蓄積しない中鎖脂肪酸の特徴
中鎖脂肪酸の最大の特徴は迅速で優れた消化吸収能力を持つことです。脂肪酸を含む油脂類は通常、消化ルートが複雑で代謝されるのに時間を有します。
大まかな構図で見ると、摂取→リンパ管・静脈→脂肪組織・筋肉・肝臓に貯蔵→必要に応じて代謝といったルートになりますので、過剰脂質の多い傾向では肥満の一途を辿りかねない状態を作り出すのです。
しかし、中鎖脂肪酸は門脈へ直行して肝臓で速やかに消化されるので、過剰脂質となる心配がありません。
消化酵素や胆汁酸の力を借りなくてもきちんと消化されるので、体にも負担がかからず効率的にエネルギー源になり万遍なく活用されます。
中鎖脂肪酸の効果
燃焼効果をサポートして体脂肪、内臓脂肪、体重、ウエストサイズを減らす。
消化機能に負担をかけないので、術後や未熟児向けのエネルギー補給として活用できる。
肥満、コレステロールの上昇、心筋梗塞、動脈硬化などのリスクを軽減する。
抗酸化力が強くアンチエイジングに期待できる。
含まれる食品と脂肪酸
食品
ココナッツオイル、パームオイル、バター、牛乳
脂肪酸
ラウリン酸、オクタン酸、テカン酸、カプリル酸、カプリ酸
摂取量に注意して摂りたい長鎖脂肪酸の特徴
動物性の脂肪酸のウエイトが高い長鎖脂肪酸は体内で固まりやすい特徴を持ちます。一般的な食用油の大半が長鎖脂肪酸といわれますが、代謝不良などで冷え性が慢性化した体で摂取すると脂肪の流動性が失われて体内蓄積しやすい傾向にあります。
ストック的役割が大きく、癌の誘発など健康面での懸念が払しょくできない動物性油脂もありますので摂取量のバランスを重視することがとても大切です。
含まれる食品と脂肪酸
食品
牛脂、豚脂、ラード、オリーブオイル、大豆油
脂肪酸
パルチミン酸、オレイン酸、リノレン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、ミリスチン酸
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