3つの働きと摂取量について
不溶性食物繊維は、水に溶けにくい性質を持ち、繊維の状態のまま腸内に届くことで蠕動運動を高めます。便秘予防にダイレクトに繋がる成分といえます。便の滞留時間を短くするほどの蠕動運動促進作用があり、宿便体質も改善されます。
その他にも下記のような特徴があります。
内臓器官に働きかける
不溶性食物繊維を含む食品は、かんぴょうやインゲン豆、切干大根など何らかの形で噛み応えがあるか、咀嚼しなければ食べられない食品であることが多いのです。咀嚼そのものが、神経ヒスタミンを刺激し、肥満を予防します。
噛む力により次のようなメリットも実感できます。
唾液が分泌される
消化酵素アミラーゼの働きを高める
細菌感染などにも負けない、生体防御反応を高める
口腔内のPH値を安定させる緩衝作用が高まる
潤滑した口腔内が保てるので味覚障害を起こさない
自浄作用が働く
ダイエットに繋がる
噛むことで少量でも満腹感を得られ、食べる量をセーブできます。また、消化酵素も分泌されるので食品の分解がスムーズになりお通じも改善されます。
顎が鍛えられる
顎の力は大切で、噛むことにより不正咬合や顎関節症を予防します。
脳や伝達神経の活性化
認知症予防、集中力アップ、ストレスの緩和作用などが期待できます。
これはひいては、胃液、唾液など内臓器官の分泌液を出すことになるので、内臓器官を守ることにもまります。
水分を吸着する
不溶性食物繊維に穀類が多いのはよく知られています。下痢をした時、薬の変わりに、何もつけない焼いたパンをちぎって食べるといいといわれているのは、この原理を応用したものです。
食パンは不溶性食物繊維である小麦から出来ています。不溶性食物繊維が腸内で水分を多く抱え、その容積を増加させることで、下痢を止めるという事なのです。
コレステロールが体内に再循環するのを防ぐ
コレステロールを基に肝臓で作られるものに胆汁酸があります。胆汁酸は、十二指腸から分泌され、体内にコレステロールを必要量回し、不要になったコレステロールを再び胆汁酸と共に小腸に送り返します。この時に小腸から吸収されたコレステロールは血液に戻って行きますが、量が多ければ高脂血症を招きます。
これを防ぐのが不溶性食物繊維です。胆汁酸から小腸に吸収された、コレステロールを不溶性食物繊維が吸着することで、血液内にコレステロールが再循環するのを防ぎます。
小腸には、同じようなシステムで、体内に有害金属も吸収されてきますが、不溶性食物繊維が体外に排出することにより、体内蓄積を免れているともいえます。
不溶性食物繊維の摂取量
成人の一日当たりの食物繊維摂取量は20g〜25gが推奨されています。そのうち、水溶性食物繊維1に対して不溶性食物は2の割合が理想の摂取量です。
ただし不溶性食物繊維は、水に溶けないという特徴から、過度にとりすぎても便秘を招くことがあります。
ちなみにお茶碗一杯の白米で0.5gの不溶性食物繊維の量です。納豆1パックで2g程になりますので、現代の食生活で過度ということは、よほどのことでない限りありえません。食材をバランスよく組み合わせ、ほどほどに摂り、健康な体を目指すことが大事です。