生姜の効果は生と加熱した物では異なる!摂取の際に注意したい事
生姜の持つパワーは古くから健康に特化した威力を発揮する成分が知られ重宝されてきました。
イギリスではペスト予防対策に用いられた歴史もあるなど優れた殺菌効果でもお馴染みですが、漢方では薬効の吸収をサポートして成分効果を引き出すメイン薬として今日でも利用されています。
発汗作用や循環機能の活性など多岐に亘る作用で、近年生姜人気が高まっていますが、その秘密には温度によって成分を変化させるショウガオールに隠されているようです。
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生と加熱することで変わる効果
ショウガオールは元々は生姜に含まれるオレオレジンというデンプン質に属します。このデンプン質内においてはジンゲオールという成分ですが、加熱によって成分の半数がショウガオールに変わります。
生の状態の生姜について
生の状態でのジンゲオールでは解熱作用、解毒作用といった効果が高いのが特徴で、嘔吐や吐き気止めの働きがあり乗り物酔いにも効くとされています。
解毒では殺アニサキス作用といわれる殺菌効果で、お刺身など生のお魚に寄生する虫や雑菌を撃退します。また生姜といえば体を温める効果が代名詞ともなっていますが、実は生の状態では逆に体を冷やす作用を生じます。
これはジンゲノールの血管拡張作用による反動のためで、手足などの末端は温まるのですが解熱作用も相まって深部体温が下がってしまうのです。
加熱した状態の生姜について
逆に、加熱した生姜から得られるショウガオールに関しては体を温める働きが得られ、脂質分解促進や蠕動運動の向上、胃の粘膜の保護など多岐に亘る身体内への作用が期待できます。
このことからも、生と加熱の生姜を目的別に使い分けるのが正しい食し方といえます。
加熱生姜のパワー
加熱によって成分中のジンゲオールから変化したショウガオールは、体を芯から温める作用によって酸化ストレスを抑制する働きを持ちます。
胃腸部分にカルシトニン遺伝子関連ペプチドを産生することにより有効効果を活かすメカニズムがわかっていますが、この働きで心臓からの血液拍出量が増えて血液循環が良くなり、次のような効果を齎します。
脳内の活性化
神経伝達物質アセチルコリンの活動を高めて脳内を効率よく働かせます。脳疾患の原因ともなる慢性炎症も鎮めるので、記憶力の低下や認知症の予防などに繋がります。
蠕動運動の促進
胃腸の粘膜を保護すると同時に、血行促進によって蠕動性が高まり消化がスムーズに改善されます。便秘そのもを解消に導くので、生活習慣病の予防に大きく期待が持てます。
関節の動きを滑らかにする
関節痛はホルモン様物質といって、プロスタグラジンとトロンボトサンの二つの物質が生成されることで痛みを伴う症状を発症します。
加熱生姜にはこの成分生成を阻害する作用があり、関節痛を予防して関節の動きを潤滑にする効果が期待されています。
その他の症状改善作用
リウマチ、アレルギー、脂質異常症、動脈硬化、糖尿病、癌、高血圧、寒冷腹痛、加齢によるシミ・シワ、免疫力の低下、冷え性、甲状腺機能障害、血行不良、花粉症、婦人病
生姜を摂取する上での気を付けたいポイント
生姜を摂取するうえで気を付けたいポイントが2つあります。
粉末の乾燥生姜は製造工程の確認をする
天日干しや蒸したあとに干すなどの工程を経たものは大丈夫なのですが、急速乾燥や凍結乾燥させたものになると水分と一緒に成分が飛んで、本来の成分がのぞめません。健康効果に期待して利用する場合は必ず製造工程を確認するようにしましょう。
加熱生姜は100℃以下の調理を心掛ける
100℃を超えるとショウガオール成分の特徴が出ない他、苦味などが出て美味しさも半減してしまいます。温度に気を付けて調理したり、話題のウルトラ蒸し生姜を作って常備しておくのもお勧めです。ウルトラ蒸し生姜は覚えておくと、とても重宝します。
手順としては、生姜を縞模様に沿って薄くスライスしたら、キッチンペーパーや布巾を敷いた蒸し器に重ならないように並べて30分ほど蒸すもの。これを更に丸一日天日干し、若しくは1週間室内干しして出来上がります。
ちょっとしたスープもウルトラ蒸し生姜を加えるだけで格段に味がアップします!ただし、美味しいからと沢山食べ過ぎるのは消化器官を弱めるので厳禁です。1日10グラムまでを目安に摂取するようにしましょう。